こんにちは!、元航空自衛官の空自ニキです。
ほとんどの方が自衛隊に入隊するルートでは、自衛官候補生もしくは一般曹候補生のどちらかを受験すると思います。
実は、ここの区分の違いは結構大きく、入隊後の自衛官人生にかなり影響を与えることになるでしょう。人によってそれぞれ良し悪しが分かれる感じですね。
この記事では、これから自衛隊に入隊をしようと考えている方に、「自衛官候補生と一般曹候補生の違いや、どっちの入隊区分で受験するのがおすすめなのか」を紹介します。
自衛官候補生と一般曹候補生について
自衛隊では全ての自衛官に階級が付与されており、ピラミッド構造になっています。
そして一般的に入隊する場合、このピラミッドの一番下である、2士という階級からスタートすることになります。
2士→1士→士長というように、士長までは在籍しているだけで自動的に昇任していくのですが、その次の3曹からは選抜試験に合格する必要があります。
感覚として、士長までは契約社員。3曹から正社員といった感じでしょうか。
自衛官候補生と一般曹候補生の違いは、主にこの3曹になる時の試験の合格しやすさがポイントですので、注意が必要です。
自衛官候補生とは?
自衛官候補生の一番の特徴は、「任期制」ということです。
陸上自衛官は1年9ヶ月(一部技術系は2年9ヶ月)、海上・航空自衛官は2年9ヶ月を1任期としています。
ですので、1任期が終了した場合、次の2つの選択肢を選ぶことになります。
①引き続き、自衛官候補生として勤務する
②退官し、民間企業に就職する
②の退官を選んだ場合は、就職援護を受けることができます。
また、任期満了金という特例退職手当を受け取ることが可能です。
航空自衛隊の場合は1任期で約96万円、2任期で約150万円ほど貰えます。とっても魅力的ですよね。
ですがメリットばかりではありません。
士長までの昇任スピードは、一般曹候補生に比べて少し遅くなってます。また、3曹への選抜が難しいです。
「曹になるか分からないけど、とりあえず自衛官として働きたい人」にお勧めです。
一般曹候補生とは?
一般曹候補生は「自衛隊を一生続けることを前提とした隊員」のことです。
入隊してから3年~7年の間に3曹になれる区分となっています。
そのため、自衛官候補生に比べて士長までの昇任スピードが早くなっています。同じ契約社員でも正社員候補みたいな感じですね。
また、航空自衛隊の場合は、教育隊卒業後にすぐに術科学校に行くことが多いです。自衛官候補生よりも優先的に技術教育が受けられます。
基本、術科学校を卒業した順番でOJTが行われるので、職場でも手厚いサポートが受けられます。
その分、注意すべき点が中途退職する場合です。
自衛官候補生ほど簡単に辞められず、また就職援護を受けることができません。再就職する際に少し大変ですね。
「将来的に曹になって、自衛官として長く働きたいという人」にお勧めです。
3曹選抜試験の違い
自衛官候補生と一般曹候補生では、3曹への昇任しやすさが違います。
理由は2つ。選抜試験が異なることと、選抜されるグループが違うということです。
その理由を詳しく、紹介していきます。
昇任試験の違い
選抜試験はそれぞれの区分で行われるのですが、まず、試験科目が異なります。
自衛官候補生は防衛教養(自衛隊独自の科目)と一般教養(いわゆる国数英)を受験しますが、一般曹候補生は一般教養が免除されています。
テスト対策は範囲が狭い一般曹候補生が有利という感じですね。
また、自衛官候補生は試験を受験した全ての隊員から選ばれるのに対し、一般曹候補生は同期の間で選ばれる仕組みとなっています。
自衛官候補生は母数が大きいので、成績が悪いと当然のように落ちてしまうでしょう。
以上の理由から、一般曹候補生のほうが3曹に昇任しやすくなっています。(勉強をしっかりすれば、結局合格するのは変わらないですけど)
ずっと昇任できなければ退職!?
どちらの区分でも、昇任ができずに一定の年数が経ってしまった場合、残念ながら退職することになります。
その期間がこちらです。
・自衛官候補生→6年(陸自)or7年(空自、海自)
・一般曹候補生→8年以上
「3曹昇任試験に不合格だった。」や「処分をうけて昇任ができなくなった。」etc、、、
理由は様々ですが、自衛官候補生の場合3任期までしか続けられない部隊がほとんどだと思います。(4任期目の自衛官候補生は聞いたことがなかったです。)
また、一般曹候補生は順番に昇任し、原則7年間で全員が昇任し終わる制度ですので、それ以上たってしまうと「かたたたき」がはじまります。
自衛隊を続けたいなと感じるようになったら、試験に向けた準備はしておきましょう!
入隊区分で迷ったら
おすすめは自衛官候補生
迷うようであれば、とりあえず自衛官候補生を受験しましょう!
個人的な意見ですが、入隊して部隊に配属後でじゃないと、続けられるかどうか判断がつかないと思います。
なぜなら、自衛隊は職場環境や組織の構造が、部隊によってがらりと変わるからです。
合う人合わない人がはっきりする仕事ですので、辞める方もなかにはいました。
そんな中、任期満了金や就職援護といったサポート制度がある自衛官候補生のほうが、とれる選択肢が増えることになります。
選択肢が多いほうが後悔しづらい気がします。
裏技!自衛官候補生から一般曹候補生になれる!?
実は、自衛官候補生として入隊した後に一般曹候補生の試験を受験することは可能です。
合格した場合、短期補生といわれる短い期間(1か月くらい)の教育隊に入隊することになります。
ポイントは、階級や所属部隊も引き継いで行くことになるということです。ゼロからのスタートではないので、安心ですね。
自衛官候補生の任期がそろそろ終わってしまうけど、どうしても続けたいな。そんな人は短期補生がおすすめです。
まとめ
「自衛官候補生と、一般曹候補生の入隊区分の違い」についてまとめてみました。
就職援護といったサポートや、任期満了金を重視するならば、自衛官候補生がおすすめです。若いうちの、まとまったお金はやはり魅力的ですよね!
しかし、定年まで自衛官として働きたい!という固い意志があるなら、一般曹候補生を目指すことも視野に入れてもいいかもしれません。
この記事を参考にしつつ、みなさんが入隊区分を選んでいただければ幸いです。